商標登録の区分「第40類」の概要とサービス指定方法

商標登録の区分「第40類」の概要とサービス指定方法

ここでは、商標登録の区分「第40類」の概要とサービス指定方法について説明します。

なお、商標登録に必要な「区分」、「商品/サービス」の全体的な説明は、以下のリンクの記事をご参照ください。

商標登録の区分「第40類」及びこれに含まれる「商品/サービス」の概要

商標登録の区分「第40類」は、物品の加工その他の処理に関する区分です。

具体的には、以下のサービスに関する区分です。

材料処理;
廃棄物の再生;
空気の浄化処理及び水処理;
印刷サービス;
食品及び飲料の保存加工.

この第40類には、特に、以下のサービスを含むとされています。

物品又は物質の変形及びその本質的性質の変化を伴うあらゆる工程、例えば、衣類の染色;
そのような変形サービスは、たとえ修理又は保守の枠組みで提供されるとしても、第40類に分類される。例えば、自動車用バンパーのクロムめっき;
建築物以外の物質又は物品の製造工程における材料処理のサービス、例えば、切断、成形、研磨又は金属被覆のサービス;
材料の接合、例えば、はんだ付け又は溶接;
食品の加工及び処理、例えば、果実の圧搾、製粉、食品及び飲料の保存加工、食品のくん製、食品の冷凍加工;
(特定の官庁は生産される商品の記載を要求することを踏まえた上での)他者の注文及び仕様に応じた商品の受託による製造、例えば、受託による自動車の製造;
歯の技工;
キルティング加工、刺しゅう、裁縫、織物の染色及び織物の仕上げ加工.

この第40類には、特に、以下のサービスを含まないとされています。

物品又は物質の本質的性質の変化を伴わないサービス、例えば、家具の保守又は修理(第37類);
建設工事の分野におけるサービス、例えば、塗装工事及び左官工事(第37類);
クリーニングサービス、例えば、洗濯、窓の洗浄、建築物の内部及び外側の清掃(第37類);
乗物及び建築物の防錆処理、例えば、乗物の防錆処理(第37類);
特定の特注製造サービス、例えば、受託による自動車の塗装(第37類);
食品の装飾、食品の彫刻(第43類).

ただし、上述に示されているサービスは、あくまでも区分「第40類」の概要を示すものであって、そのまま「商品/サービス」として指定して出願することは、内容及び範囲が明確とは言えず、適切ではないとされていますので、ご注意ください。

商標登録の区分「第40類」に含まれる「商品/サービス」の指定

区分に含まれる「商品/サービス」は、具体的かつ明確に表示することが必要とされています。

具体的には、類似商品・役務審査基準に記載されている商品・役務の表示(「類別表」を除く。)を参考に記載することとされています。

そして、「第40類」に属する代表的なサービス(包括概念表示したもの)として、以下のサービスが挙げられています。

除染,布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,刺しゅう,金属の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,セラミックの加工,木材の加工,紙の加工,石材の加工,剥製,竹・木皮・とう・つる・その他の植物性基礎材料の加工(「食物原材料の加工」を除く。),食料品の加工,義肢又は義歯の加工(「医療材料の加工」を含む。),映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真のプリント,写真用フィルムの現像,製本,浄水処理,廃棄物の再生,核燃料の再加工処理,印章の彫刻,グラビア製版,繊維機械器具の貸与,写真の現像用・焼付け用・引き伸ばし用又は仕上げ用の機械器具の貸与,金属加工機械器具の貸与,製本機械の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,製材用・木工用又は合板用の機械器具の貸与,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の貸与,浄水装置の貸与,廃棄物圧縮装置の貸与,廃棄物破砕装置の貸与,化学機械器具の貸与,ガラス器製造機械の貸与,靴製造機械の貸与,たばこ製造機械の貸与,3Dプリンターの貸与,材料処理情報の提供,印刷,廃棄物の分別及び処分,編み機の貸与,ミシンの貸与,家庭用暖冷房機の貸与,家庭用加湿器の貸与,家庭用空気清浄器の貸与,発電機の貸与,印刷用機械器具の貸与,ボイラーの貸与,業務用加湿器の貸与,業務用空気清浄器の貸与,業務用暖冷房装置の貸与

つまり、商標登録の区分として「第40類」を指定する場合、これらのサービスを指定することで、「第40類」で指定できるサービスを包括的にカバーできることになります。

ただし、広い範囲で多くのサービスを指定した場合、特許庁における審査において、それらのサービスについて商標の使用又は使用の予定があることの証明を求める通知が出され、証明書を提出するなどの対応が必要になる場合があります。また、拒絶理由通知が出やすくなったり、第三者に異議を申し立てられたり、取消審判を請求されたりする可能性も高くなります。

そこで、これらの対応が必要になるのを防ぎ、これらの対応にかかる労力やコストを抑えるために、使用しないサービスは削除する、あるいは、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するなどのカスタマイズを行なうことが好ましい場合があります。

なお、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するには、類似商品・役務審査基準の「第40類」において、包括概念に含まれる具体的なサービスとして挙げられているサービスを参考にすることとされています。

また、類似商品・役務審査基準の見方がわからない場合には、類似商品・役務審査基準の「凡例」をご覧ください。

また、「商品/サービス」の記載方法は、特許庁が提供している「指定商品・指定役務の記載方法」をご覧ください。

・商標登録の区分「第40類」は、物品の加工その他の処理に関する区分
・「第40類」に属するサービスを包括概念表示で指定するなら、上述の「第40類」に属する代表的なサービス(包括概念表示したもの)を指定
・包括概念表示で指定すると、拒絶対応等の各種対応が必要になるため、これを考慮して、使用しないサービスは削除する、又は、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するなどのカスタマイズを行なうことが好ましい
・包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するには、類似商品・役務審査基準の「第40類」において包括概念に含まれる具体的なサービスとして挙げられているサービスを参考にする

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著者プロフィール

ベテラン弁理士山本

弁理士(特定侵害訴訟代理認定)
登録番号11267(1998年登録)
難関国家資格の弁理士に合格率3%時代に合格して【弁理士キャリア25年】
20代前半に弁理士事務所に入って【実務経験28年】(商標・意匠・特許の出願・登録手続き、外国での手続き等)。
この間、有名大企業(例えば富士通株式会社)の代理人弁理士、「日本知的財産仲裁センター」の「調停人・仲裁人・判定人候補者」を務めるなど、経験・実績ともに豊富で、難易度の高い案件にも対応可能なトップレベルの専門家です。
学歴は、早稲田大学大学院修了
趣味は、ランニング。
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