商標登録の区分「第35類」の概要とサービス指定方法

商標登録の区分「第35類」の概要とサービス指定方法

ここでは、商標登録の区分「第35類」の概要とサービス指定方法について説明します。

なお、商標登録に必要な「区分」、「商品/サービス」の全体的な説明は、以下のリンクの記事をご参照ください。

商標登録の区分「第35類」及びこれに含まれる「商品/サービス」の概要

商標登録の区分「第35類」は、広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に関する区分です。

具体的には、以下のサービスに関する区分です。

広告;
事業の管理、組織及び運営;
事務処理.

この第35類には、特に、以下のサービスを含むとされています。

他人の便宜のために各種商品を揃え(その運搬を除く。)、顧客がこれらの商品を見、かつ、購入するために便宜を図ること;
当該サービスは、小売店、卸売店、自動販売機、通信販売カタログによる注文又はウェブサイト若しくはテレビのショッピング番組などの電子メディアによって提供される場合がある。;
広告、マーケティング及び販売促進のための企画及びその実行の代理、例えば、試供品の配布、広告用コンセプトの開発、広告文の作成及び広告物の出版;
ショーウィンドーの装飾;
広報活動の企画;
テレビショッピング用番組の制作;
商業又は広告のための商品見本市及び展示会の企画・運営;
販売促進のための検索エンジンの検索結果の最適化;
商業の援助、例えば、人材募集、事業の契約に関する交渉の代行(他人のためのこと)、原価分析、輸出入に関する事務の代理又は代行;
事業に関する取引及び財務記録に関連する管理サービス、例えば、簿記、財務書類の作成、会計監査並びに業務監査及び財務会計監査、事業の評価、税務書類の作成及び納税申告に関する役務の提供;
他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理;
文書による通信及び記録の記録、複写、構成、編集及び体系化、並びに数学的又は統計的データの編集で構成されるサービス;
事務処理、例えば、予定のスケジューリング及び確認、電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行、コンピュータによるファイルの管理、電話交換.

この第35類には、特に、以下のサービスを含まないとされています。

金融サービス、例えば、金融・財務分析、財務管理、財政保証(第36類);
土地・建物の管理(第36類);
株式の売買の媒介・取次ぎ又は代理(第36類);
輸送に関する物流管理(第39類);
エネルギー効率の診断(第42類);
販売促進用材料のグラフィックデザインの考案(第42類);
契約の交渉に関する法律業務(他人のためのこと)(第45類);
知的財産権の利用に関する契約の代理又は媒介、ライセンスに関する法的な管理、著作権の管理(第45類);
インターネットドメイン名の登録に関する法律業務(第45類).

ただし、上述に示されているサービスは、あくまでも区分「第35類」の概要を示すものであって、そのまま「商品/サービス」として指定して出願することは、内容及び範囲が明確とは言えず、適切ではないとされていますので、ご注意ください。

商標登録の区分「第35類」に含まれる「商品/サービス」の指定

区分に含まれる「商品/サービス」は、具体的かつ明確に表示することが必要とされています。

具体的には、類似商品・役務審査基準に記載されている商品・役務の表示(「類別表」を除く。)を参考に記載することとされています。

そして、「第35類」に属する代表的なサービス(包括概念表示したもの)として、以下のサービスが挙げられています。

広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,財務書類の作成又は監査若しくは証明,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,複写機の貸与,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,求人情報の提供,新聞記事情報の提供,自動販売機の貸与,衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ペットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

つまり、商標登録の区分として「第35類」を指定する場合、これらのサービスを指定することで、「第35類」で指定できるサービスを包括的にカバーできることになります。

ただし、広い範囲で多くのサービスを指定した場合、特許庁における審査において、それらのサービスについて商標の使用又は使用の予定があることの証明を求める通知が出され、証明書を提出するなどの対応が必要になる場合があります。また、拒絶理由通知が出やすくなったり、第三者に異議を申し立てられたり、取消審判を請求されたりする可能性も高くなります。

そこで、これらの対応が必要になるのを防ぎ、これらの対応にかかる労力やコストを抑えるために、使用しないサービスは削除する、あるいは、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するなどのカスタマイズを行なうことが好ましい場合があります。

なお、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するには、類似商品・役務審査基準の「第35類」において、包括概念に含まれる具体的なサービスとして挙げられているサービスを参考にすることとされています。

また、類似商品・役務審査基準の見方がわからない場合には、類似商品・役務審査基準の「凡例」をご覧ください。

また、「商品/サービス」の記載方法は、特許庁が提供している「指定商品・指定役務の記載方法」をご覧ください。

・商標登録の区分「第35類」は、広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に関する区分
・「第35類」に属するサービスを包括概念表示で指定するなら、上述の「第35類」に属する代表的なサービス(包括概念表示したもの)を指定
・包括概念表示で指定すると、拒絶対応等の各種対応が必要になるため、これを考慮して、使用しないサービスは削除する、又は、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するなどのカスタマイズを行なうことが好ましい
・包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するには、類似商品・役務審査基準の「第35類」において包括概念に含まれる具体的なサービスとして挙げられているサービスを参考にする

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著者プロフィール

ベテラン弁理士山本

弁理士(特定侵害訴訟代理認定)
登録番号11267(1998年登録)
難関国家資格の弁理士に合格率3%時代に合格して【弁理士キャリア25年】
20代前半に弁理士事務所に入って【実務経験28年】(商標・意匠・特許の出願・登録手続き、外国での手続き等)。
この間、有名大企業(例えば富士通株式会社)の代理人弁理士、「日本知的財産仲裁センター」の「調停人・仲裁人・判定人候補者」を務めるなど、経験・実績ともに豊富で、難易度の高い案件にも対応可能なトップレベルの専門家です。
学歴は、早稲田大学大学院修了
趣味は、ランニング。
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