商標活用事例13(商標は売れ行きに影響する大事な資産)

商標は売れ行きに影響する大事な資産

この商標活用事例は、特許庁発行「事例から学ぶ商標活用ガイド」に掲載されている事例を紹介するもので、それを編集・加工等しております。
詳しくは、「事例から学ぶ商標活用ガイド」(特許庁)の中の「商標制度活用事例13」をご参照ください。

ブランドを表す商標は、売れ行きに影響する大事な資産と考え、積極的に権利化

秋田県醗酵工業株式会社は、オエノンホールディングス株式会社(オエノングループ)の傘下に入っており、グループの4つの酒類製造子会社の商品のネーミングやブランド戦略の策定を、製品イメージに合わせて、親会社と各子会社が協力して行っている。

酒類の売れ行きは、味、価格、そして見た目に影響されるといわれていますから、見た目を支えるブランドや商標も大事。ブランドの名称(商標)の決定に当たっては、特にPB商品やバイヤー経由で販売する商品については、先方顧客やバイヤーの希望を営業担当部署経由で十分に組み込むようにして、顧客の意見を反映

ブランドは大事な資産と考えていることから、将来的に使用することが想定される商標は積極的に権利化。何と言っても、他人に権利化されて使えなくなってしまうと大変なことになるから。

また、グループで保有する商標権については、そのすべての情報をグループ内で共有。自社製品に使用したい商標について、グループ内の他の会社が保有している場合には、グループ内で無償のライセンス契約をして使用するなど、グループの共有資産としている。

トップブランドは約35年前から販売している「そふと新光」という焼酎ブランド。かつて「新光」というブランドを展開していましたが、その味わいをマイルドなものに変えたという趣旨から「そふと」の文字を付加。こうした特性と名前のイメージが一致していることもあって、「そふと新光」のブランドイメージが秋田県内の消費者に浸透し、定番商品となっている。

・ブランドを示す商標は売れ行きに影響!大事な資産と考え、積極的に権利化
・商品特性とマッチしたネーミングとすることで定番商品に

ブランド価値を守るため類似品には真摯に対応

近隣の酒造メーカーが、当社のブランドとほぼ同一の商標で酒類の販売を始めたことがありました。取引先であったため、最初は対応をどうするか悩みましたが、相手の広告や店頭商品における商標の使用が増えてきたのを感じ、自社ブランドを尊重してもらうというポリシーを貫く必要があると決断

そこで、侵害の事実を文章にし、相手企業を訪問して協議。協議において、相手企業は当社の商標権の事前確認を怠っており、侵害の事実を認識していなかったことが判明。最終的には商標の使用料をお支払いいただくという形で決着しました。

悪意のない侵害であろうと、侵害者が取引先であろうと、大切な資産であるブランドの価値をしっかりと守るためには、真摯に行動することが必要。

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著者プロフィール

ベテラン弁理士山本

弁理士(特定侵害訴訟代理認定)
登録番号11267(1998年登録)
難関国家資格の弁理士に合格率3%時代に合格して【弁理士キャリア25年】
20代前半に弁理士事務所に入って【実務経験28年】(商標・意匠・特許の出願・登録手続き、外国での手続き等)。
この間、有名大企業(例えば富士通株式会社)の代理人弁理士、「日本知的財産仲裁センター」の「調停人・仲裁人・判定人候補者」を務めるなど、経験・実績ともに豊富で、難易度の高い案件にも対応可能なトップレベルの専門家です。
学歴は、早稲田大学大学院修了
趣味は、ランニング。
詳しい経歴などはこちら

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