商標活用事例17(方言を商標登録して地域ブランド化で経済効果大)

方言を商標登録して地域ブランド化で経済効果大

この商標活用事例は、特許庁発行「事例から学ぶ商標活用ガイド」に掲載されている事例を紹介するもので、それを編集・加工等しております。
詳しくは、「事例から学ぶ商標活用ガイド」(特許庁)の中の「商標制度活用事例17」をご参照ください。

方言を商標登録して、地域ブランド化し、地域の財産としてフル活用することで、大きな経済効果

授業で地域活性化に取り組んでいた山口県立防府商工高等学校(以下、防府商校)の生徒たちが、山口県の方言で、「幸いです。助かります。ありがたいです。便利です。」の意味を表す「幸せます」に目を付け、「幸せます」に「幸せを増す」という意味も付け加えて防府の地域ブランドにすることを考え、一緒にやってほしいと相談されたことを機に、産学連携で、防府商工会議所が主体となって地域ブランド化を進めていくことに。

まずは地元の方言「幸せます」を商標登録。「幸せます」のブランドコンセプトは、「消費者が幸せを増す」。ブランド価値を確立するために、商標登録するだけでなく、商標使用規定を定め、このコンセプトがしっかり盛り込まれた地域発の商品・サービスにのみ商標の使用を認めるように、商標の使用をしっかり管理することで、ブランドを確立

このようにしてブランドコンセプトを守ることは、地域のイメージ向上にもつながる。ブランドコンセプトはすぐには浸透しないため、説明会の開催や企業訪問などで説明・説得を重ねた。

「幸せます」ブランドを使用したい企業等は、使用申請をし、弁理士を含む7名で構成される審査会の審査に通る必要があるというように、徹底。

使用するデザインのガイドラインも作り、基本となるデザインの色まで指定し、統一感のあるブランド展開がされるようにしている。

こうしてブランド価値が確立したことにより、防府市まちの駅にある、「幸せます」ブランド商品を販売する「幸せます」コーナーでは、年間売上が1000万円以上に。まさに「幸せます」ブランドの経済効果。また、取り組む主体は、企業・団体のほか、地元の商店街、行政にも広がっており、「幸せます」というブランドがあることで町全体に統一感

・地元の方言を商標登録して、産学連携で、地域ブランド化
・商標使用規定、審査会を設け、コンセプトにあったもののみに商標の使用を認めることで、ブランドを確立
・デザインのガイドラインを作り、統一感のあるブランド展開がされるようにしている
・地域ブランドは、地域発のオリジナル商品とそのブランドを通じた地域のイメージ向上という両輪で動くもの
・地域ブランドで町全体に一体感!年間売上1000万以上に!

商標のライセンス料で地域ブランドのシステムを支える

商標を使用する場合には、年5,000円の商標使用料を防府商工会議所に支払うという仕組みに。ブランド力を維持・強化するためには、商標権の維持・管理やホームページの運営・改良など様々な費用がかかるので、このライセンス料が大事な収入源

地域ブランドとしてのブランド管理

地域外の事業者が商標を使用していることを発見したときは、まず商標権があることを説明し、地域活性化のための商標なので使わないで欲しいとお願いして使用をやめてもらう。また、地域外の企業から商標を使いたいと申出があったときは、地域活性化のための商標だからとお断り「幸せます」ブランドの「地域ブランド」としての価値をしっかり守っていくことが重要

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著者プロフィール

ベテラン弁理士山本

弁理士(特定侵害訴訟代理認定)
登録番号11267(1998年登録)
難関国家資格の弁理士に合格率3%時代に合格して【弁理士キャリア25年】
20代前半に弁理士事務所に入って【実務経験28年】(商標・意匠・特許の出願・登録手続き、外国での手続き等)。
この間、有名大企業(例えば富士通株式会社)の代理人弁理士、「日本知的財産仲裁センター」の「調停人・仲裁人・判定人候補者」を務めるなど、経験・実績ともに豊富で、難易度の高い案件にも対応可能なトップレベルの専門家です。
学歴は、早稲田大学大学院修了
趣味は、ランニング。
詳しい経歴などはこちら

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