商標登録の区分「第36類」の概要とサービス指定方法

商標登録の区分「第36類」の概要とサービス指定方法

ここでは、商標登録の区分「第36類」の概要とサービス指定方法について説明します。

なお、商標登録に必要な「区分」、「商品/サービス」の全体的な説明は、以下のリンクの記事をご参照ください。

商標登録の区分「第36類」及びこれに含まれる「商品/サービス」の概要

商標登録の区分「第36類」は、金融、保険及び不動産の取引に関する区分です。

具体的には、以下のサービスに関する区分です。

金融・財務及び銀行サービス;
保険サービス;
不動産業務.

この第36類には、特に、以下のサービスを含むとされています。

金融又は財務取引及び支払の代行サービス、例えば、両替、電子的な資金の振替、クレジットカード及びデビットカード利用者に代わってする支払代金の決済、旅行者用小切手の発行;
財務管理、金融又は財務に関する調査;
金融評価、例えば、宝石、美術品の評価、建物又は土地の鑑定評価、修繕額の査定;
小切手の検証;
資金の貸付け及び信用貸しサービス、例えば、資金の貸付け、クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算、分割払い購入資金の貸付け又は賃借り満期購入方式の金融;
インターネットを介して行う事業プロジェクトの資金調達を目的とする出資・融資の募集・仲介・取次(クラウドファンディング);
有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり;
財政保証;
土地・建物の売買又は貸借の代理又は媒介、土地・建物の管理、アパートの貸与、賃貸料の徴収の代行;
保険の引受け、保険数理;
仲介サービス、例えば、有価証券の売買の媒介・取次ぎ又は代理、保険契約の締結の仲介、建物・土地の売買又は貸借の代理又は媒介、カーボンクレジットに関する取引の代理又は媒介、質屋による資金の貸付.

この第36類には、特に、以下の商品を含まないとされています。

商取引及び財務記録に関する管理サービス、例えば、簿記、財務書類の作成、会計監査及び業務監査並びに財務会計監査、事業の評価、税務書類の作成及び納税申告に関する役務の提供(第35類);
スポンサー探し、スポーツイベントの後援を通じて行う商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理(第35類);
現金自動預払機への現金補充(第39類);
貨物の輸送の媒介又は取次ぎ、輸送の媒介又は取次ぎ(第39類);
羊毛及び立木の品質評価(第42類).

ただし、上述に示されているサービスは、あくまでも区分「第36類」の概要を示すものであって、そのまま「商品/サービス」として指定して出願することは、内容及び範囲が明確とは言えず、適切ではないとされていますので、ご注意ください。

商標登録の区分「第36類」に含まれる「商品/サービス」の指定

区分に含まれる「商品/サービス」は、具体的かつ明確に表示することが必要とされています。

具体的には、類似商品・役務審査基準に記載されている商品・役務の表示(「類別表」を除く。)を参考に記載することとされています。

そして、「第36類」に属する代表的なサービス(包括概念表示したもの)として、以下のサービスが挙げられています。

預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,暗号資産の管理,暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換,暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換の媒介・取次ぎ又は代理,前払式支払手段の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等清算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価,企業の信用に関する調査,税務相談,税務代理,慈善のための募金,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機の貸与,現金自動預け払い機の貸与

つまり、商標登録の区分として「第36類」を指定する場合、これらのサービスを指定することで、「第36類」で指定できるサービスを包括的にカバーできることになります。

ただし、広い範囲で多くのサービスを指定した場合、特許庁における審査において、それらのサービスについて商標の使用又は使用の予定があることの証明を求める通知が出され、証明書を提出するなどの対応が必要になる場合があります。また、拒絶理由通知が出やすくなったり、第三者に異議を申し立てられたり、取消審判を請求されたりする可能性も高くなります。

そこで、これらの対応が必要になるのを防ぎ、これらの対応にかかる労力やコストを抑えるために、使用しないサービスは削除する、あるいは、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するなどのカスタマイズを行なうことが好ましい場合があります。

なお、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するには、類似商品・役務審査基準の「第36類」において、包括概念に含まれる具体的なサービスとして挙げられているサービスを参考にすることとされています。

また、類似商品・役務審査基準の見方がわからない場合には、類似商品・役務審査基準の「凡例」をご覧ください。

また、「商品/サービス」の記載方法は、特許庁が提供している「指定商品・指定役務の記載方法」をご覧ください。

・商標登録の区分「第36類」は、金融、保険及び不動産の取引に関する区分
・「第36類」に属するサービスを包括概念表示で指定するなら、上述の「第36類」に属する代表的なサービス(包括概念表示したもの)を指定
・包括概念表示で指定すると、拒絶対応等の各種対応が必要になるため、これを考慮して、使用しないサービスは削除する、又は、包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するなどのカスタマイズを行なうことが好ましい
・包括概念に含まれる具体的なサービスを指定するには、類似商品・役務審査基準の「第36類」において包括概念に含まれる具体的なサービスとして挙げられているサービスを参考にする

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著者プロフィール

ベテラン弁理士山本

弁理士(特定侵害訴訟代理認定)
登録番号11267(1998年登録)
難関国家資格の弁理士に合格率3%時代に合格して【弁理士キャリア25年】
20代前半に弁理士事務所に入って【実務経験28年】(商標・意匠・特許の出願・登録手続き、外国での手続き等)。
この間、有名大企業(例えば富士通株式会社)の代理人弁理士、「日本知的財産仲裁センター」の「調停人・仲裁人・判定人候補者」を務めるなど、経験・実績ともに豊富で、難易度の高い案件にも対応可能なトップレベルの専門家です。
学歴は、早稲田大学大学院修了
趣味は、ランニング。
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